「制御盤の設計って、どうしてこんなに非効率なんだろう」
現場にいた6年間、僕はずっとこの違和感を抱えていました。この記事は、その違和感がどうやって盤ナビAIという一つのプロダクトになり、Ubensという会社の創業につながったのか——その道のりを、代表である僕自身の言葉でお伝えするものです。
制御盤設計に携わる方、そして「設計や製作をどこに任せるか」を考えている製造業の方に、少しでも「この会社なら分かってくれそうだ」と感じてもらえたら嬉しく思います。
制御盤設計者として過ごした6年間
僕はUbensを立ち上げる前、前勤務会社で約6年間、電気制御設計の実務に携わってきました。担当していたのは、制御盤の回路設計から、ラダー回路の作成・解析、部品の選定、BOM(部品表)作成、そして仕様書づくりまで。制御盤設計に関わる方なら「その大変さ、分かる」と頷いてもらえる領域だと思います。
新人時代の洗礼——「仕様書を前に、何もできない自分」を知った日
電気設計者として歩み始めたばかりのころ、僕は自動車メーカーグループ会社の繊維設備という大きな案件を任せてもらいました。長年稼働してきたリレー制御盤を、最新のPLC制御へと刷新する。新人にとっては責任重大な内容でした。
けれど、目の前にあったのは未知の設備と、分厚い仕様書だけ。何から手をつければいいのか、まったく分かりませんでした。
そんな僕を救ってくれたのが、頼もしい先輩たちです。彼らは単に答えを渡すのではなく、「どういう構成で、どんな順序で進めるか」——その道標を示してくれました。仕様書の読み解き方から回路の組み立て方まで、一つひとつ背中で教わったんです。
そして案件は無事に稼働。設備が実際に動き出した瞬間の、あの安心感は今でも忘れられません。ものづくりの複雑さと、それに正面から立ち向かうことの大切さを、身をもって知った——僕の原点とも言える経験です。
華やかな仕事ではありません。けれど、この6年間で得た「現場の肌感覚」こそが、今のUbensのすべての土台になっています。
現場で見え続けた、3つの「無駄」
設計者として手を動かし続けるなかで、僕にはどうしても見過ごせない3つの無駄がありました。
1. ラダー回路の解析に、半日から2日かかる
既存図面の読み込みや類似回路の確認は、制御盤設計のなかでも特に時間を食う工程です。1案件あたり0.5〜2日。この時間の多くは「調べる」「照らし合わせる」という、本来もっと速くできるはずの作業に消えていました。
2. 見積り・BOM作成が、完全な手作業
型式の拾い出し、部品の単価確認、数量の集計——制御盤のBOM作成に月20時間以上を費やしている設計者は、決して珍しくありません。神経を使う割に、付加価値を生みにくい作業です。
3. ナレッジが属人化し、共有されない
「あの人にしか分からない」設計が積み上がっていく。ベテランの頭の中にある判断基準が、組織の資産にならない。これは業界全体が抱える構造的な課題だと感じていました。
この3つは、僕の想像ではありません。6年間、自分の手で経験してきた「痛み」そのものです。
業界の未来に「ノー」を突きつけて
前職で働いていたころ、ある先輩からこう言われました。
「この業界には、未来がないよ」と。
若者が入ってこない。このままではAIやロボットに仕事が侵食されていく——現場の実感として、そう感じての言葉だったのだと思います。
正直、すごく寂しい気持ちになりました。でも僕には、この仕事がとてつもなく面白いという強い想いがあった。複雑な課題を紐解き、設備が思い通りに動いた瞬間のあの快感は、何ものにも代えがたいものです。
だから僕は、逆に考えました。「AIに仕事が奪われる」んじゃない。「AIを味方につければ、この業界はもっと面白くなる」。そう確信できたことが、起業のきっかけでした。
AIは、職人を追いやるものではありません。むしろ、複雑だった設計業務をシンプルにすることで、これまでハードルが高かった若い世代や未経験の方でも、早くスムーズに設計ができる環境をつくれる。**AIは、若者が業界に飛び込みやすくするための”架け橋”**なんです。
この技術の面白さを一人でも多くの若者に伝え、次の世代へ技術を繋いでいく。そして日本の製造業を、足元から支え、盛り上げていく。その決意を持って、2026年6月、僕は岐阜県でUbensを立ち上げました。
盤ナビAIという、現場からの答え
盤ナビAIは、制御盤設計者が本当に欲しかったツールを目指して開発しているAI自動化プラットフォームです。
最初のコア機能として提供しているのが、BOM(部品表)の自動生成。仕様書をアップロードすれば、AIが部品を自動で抽出し、型式・数量・単価まで整理したBOMを生成します。これまで手作業で数時間かけていた工程を、大幅に短縮することを目指しています。
大切にしているのは、「エンジニアがつくったから、エンジニアの使い勝手が分かる」という設計思想です。現場を知らない人がつくるツールと、6年間その現場で汗をかいた人間がつくるツールは、細部の作り込みが根本から変わってくる。そう信じています。
制御盤設計の効率化に取り組みたい方へ——盤ナビAIの先行無料トライアル(先着3社・1ヶ月間無料)を受付中です。詳しくはお知らせをご覧ください。
AIだけではない。「つくる側」としても伴走します
ここで、正直にお伝えしたいことがあります。
AIで自走できる案件もあれば、人が入って設計した方が確実で早い案件もあります。すべてをAIに置き換えるのが正解だとは、僕は思っていません。
だからUbensは、SaaSの提供と並行して、制御盤の設計、そして電気工事までを請け負う体制を持っています。6年間、実際に手を動かしてきたからこそ、「この案件はAIで効率化できる」「この案件は任せてもらった方がいい」を、忖度なく見極めてご提案できる。それがUbensの強みだと考えています。
- 設計リソースが足りず、制御盤の設計を外部に任せたい
- 電気工事まで含めて、まるごと相談できる相手を探している
- AIツールの導入も、既存の設計体制の見直しも、両方フラットに相談したい
こうしたお悩みがあれば、ぜひ一度お声がけください。売り込みではなく、現場を知る人間として、あなたの状況に一番合う進め方を一緒に考えます。
技術が循環する、ものづくりのプラットフォームへ
Ubensが掲げるのは、「技術が循環する、ものづくりのプラットフォームへ」というミッションです。
一人のベテランの中に閉じていた知見が、AIを通じて組織の資産になり、業界全体の底上げにつながっていく。そして日本のものづくりが、世界で通用する力を取り戻していく。僕が現場で感じた無駄の一つひとつを潰していった先に、そんな未来を描いています。
そして何より——「未来がない」と言われたこの業界を、若者が「面白い」と飛び込んでくる場所に変えていく。制御盤設計の現場を知る一人の人間として、これからもこの業界に本気で向き合っていきます。
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